
照明の選び方|最適はシーリング?LED?種類ごとの特徴を比較
2025.05.07「照明を買い替えたい。でも、何を選べばいいのか迷ってしまう」そんなふうに感じたこと、ありませんか?
お店やネットで照明を見ていると、種類も形も、思っていた以上にたくさんあって、どれが自分の部屋に合うのか、わからなくなってしまいますよね。
照明は、ただ明るくするためのものではありません。ふと見上げたときの存在感。夜の時間を、やさしく包んでくれるあかり。暮らしの「空気」を変えてくれる、大切なアイテムです。
本稿では、照明の種類ごとの特徴や、選び方のポイントをわかりやすくご紹介します。
「なんとなく」ではなく、「これがわたしにぴったり」と思える照明に出会えるように。ゆっくり、一緒に選んでいきましょう。
照明の選び方
それでは、照明選びを進めてみましょう。
照明を選ぶとき、《器具選び》と《電球選び》、この2つに分けて考えるのがポイント。
最近では、電球がセットになっているタイプも増えてきましたが ⸺ 。あえて電球にもこだわってみると、あかりの表情が変わって、ぐっと心地よい空間になります。
まずは、照明器具の選び方から。どんな形が合うかな。どこに置こうかな。そんなふうに、ひとつずつ想像しながら進めてみてくださいね。
照明器具の種類
照明を選ぶときに、ちょっとだけ意識してみてほしいこと。
それは ⸺
- 種類
- デザイン
- 機能
この3つを押さえるだけで、お部屋にしっくりくる照明に出会えます。
まずは、代表的な照明の種類と特徴から見ていきましょう。「これ、いいかも」と思える一灯を探してみてください。
▼シーリングライト
天井にぴたっと寄り添うように取り付ける、シーリングライト。 お部屋の真ん中から、ふわっと全体を明るくしてくれる照明です。
視界のジャマになりにくいから、圧迫感が少なめ。 お部屋がなんだか広く感じられるのが、うれしいところ。
シンプルなものからちょっと個性的なデザインまで、多彩なシーリングライト。リビング・寝室・子ども部屋など、幅広く使われています。
取り付けも、むずかしくありません。「引掛けシーリング」と呼ばれる方式の照明なら、カチッと差し込んでクルっと回すだけ。
特別な工事なしでも、自分の手で取り替えられます。
▼ペンダントライト
天井からすっと吊り下がる、ペンダントライト。 あかりそのものが、お部屋のアクセントになります。
すっきりとしたコード。繊細なガラス。ぬくもりのある木のシェード ⸺ 。インテリアの主役にしたくなるようなデザインも、たくさんあります。
ただ、お部屋全体を照らすには、少し明るさが足りないことも。食卓やキッチンカウンターの上など、限られた空間を、やさしく照らすのにちょうどいい照明です。
取り付けは、天井の引掛けシーリングにカチッとはめるタイプが主流。重いものなど、ビス止めタイプもあるので、賃貸のお部屋では注意して購入してくださいね。
▼フロアライト
床からすっと立つ、フロアライト。シェードの形や脚の素材が多彩で、置くだけでインテリアのアクセントになります。
ソファの横に。ベッドのそばに。主役のあかりではないけれど、お部屋の片隅で、やわらかな光を添えてくれる存在です。
フロアライトで壁や天井を照らすと、お部屋に奥行が生まれます。昼間とはまた違う、静かな夜の陰影を楽しむのにぴったりです。
もうひとつ、うれしいのは動かせること。模様替えや気分に合わせて、場所を変えられるのもフロアライトの魅力です。
ただ、コードには少し注意が必要。足元でジャマにならないよう、工夫して使ってくださいね。
▼デスクライト
机に置かれた、小さなあかり。手元をふんわり照らす、デスクライト。
勉強をするとき。夜、静かに本をめくるとき。ひとりで何かに向き合う時間に、寄り添ってくれる存在です。
角度を自由に変えられるアーム付きや、棚にそっと挟んで使えるクリップタイプなど、形もいろいろ。小さいけれど頼りになる、そんな照明です。
選ぶときは、明るさとまぶしさに、少しだけ気をつけてください。しっかり手元を照らせて、目に直接光が入らないものなら◎。
作業をしながら、気づけばあかりに癒されていた ⸺ そんな時間が生まれる一灯です。
▼ダクトレール+スポットライト
好きなところに、好きなあかりを。そんなふうに、照明をもっと自由に楽しみたいときに頼りになるのが、ダクトレールです。
天井に取り付けた一本のレールに、小型ペンダントライトやスポットライトを複数取り付け可能。数も位置も、自分の暮らしに合わせて調整できます。
たとえば、テーブルの上だけをふんわり照らしたいとき。あるいは、壁の絵にそっと光を当てたいとき。あかりの数や向きを変えることで、空間の表情もがらりと変わります。
工事なしで使えるタイプもあります。引掛けシーリングにカチッとはめて使えるものなら、賃貸のお部屋でも気軽に取り入れられますよ。
暮らしに合わせて、あかりを重ねていく楽しみ。そんな照明のアレンジを叶えてくれる道具です。
デザイン
照明は、あかりをともすだけの道具ではありません。部屋の印象を、ぐっと変えてくれるインテリアのひとつです。
だからこそ、そこにあるだけで心が整うようなものを、ゆっくり選びたいところです。
選ぶときは、形の美しさだけでなく、質感や色にも目を向けてみてください。
木の暖かみ、ガラスの透明感、金属の静かな輝き。お部屋の雰囲気とそっと調和するものなら、自然と心地よく映ってくれます。
ここからは、スタイルに合わせた照明の例を2つご紹介します。「これ、わが家にも合うかも」そんなヒントになればうれしいです。
▼モダンテイスト
すっきりとした線。余白のある空間。モダンなお部屋には、そんな潔さがよく似合います。
照明も、形はできるだけシンプルに。直線のフォルムや、ガラスや金属の質感が、空間にほどよい緊張感を与えてくれます。
色を足しすぎないことも、モダンスタイルの大切なポイント。黒や白、グレーなど、トーンをそろえるだけで空間全体に静けさと統一感が生まれます。
目立ちすぎないけれど、確かにそこにある存在感。そんな照明が、暮らしに凛とした輪郭をつくってくれます。
▼北欧(スカンジナビアン)テイスト
やさしい曲線。穏やかな光。北欧の空気には、そんな照明がよく似合います。
余計な飾りをそっと手放したような、すっきりとした形。そこに木やガラスなどで、ぬくもりを少しだけ添えたデザインも素敵です。
あかりの色は、暖かみのあるオレンジが似合います。キャンドルのともしびを思わせるような、やわらかで包み込むような光。
ぬくぬくとした毛布、静かな音楽、そしてやさしいあかり。そんな空間が、北欧の「ヒュッゲ」なひとときには欠かせません。
▼その他のテイスト
インテリアには、本当にいろんなスタイルがあります。そのひとつひとつに、「らしさ」があるように感じます。
他にも、いくつか人気のスタイルをご紹介します。
- レトロスタイル …… 昔懐かしいデザインや色あいで、ノスタルジックな空間を演出するスタイル
- ミッドセンチュリーモダンスタイル …… 1940~60年代アメリカのレトロで陽気なモダンスタイル
- インダストリアルスタイル …… 鉄や木などの無骨な素材感を生かした工場風のクールなスタイル
- 和モダンスタイル …… 和要素とモダンデザインを融合させたシンプルで落ち着きのあるスタイル
- ブルックリンスタイル …… レンガや古材、黒アイアンなどを用いた都会的ヴィンテージスタイル
- コースタルスタイル …… 海を感じさせる爽やかな配色とリラックス感のあるリゾート風スタイル
- フレンチカントリースタイル …… 白いアンティーク家具が特徴の優雅でかわいい田園風スタイル
- シャビーシックスタイル …… エイジング+優しい色味でシック&スイートな空間をつくるスタイル
- ミニマリストスタイル …… 余計な装飾を省き、シンプルで洗練された機能美を追求したスタイル
気になるスタイルが見つかったら、写真で眺めてみるのもおすすめです。
インターネットで画像を探して、テイストの傾向をつかんでみてください。照明選びのヒントになります。
機能
照明のデザインが決まったら、次は「あるとうれしい機能」にも目を向けてみましょう。
最近の照明には、便利な仕組みがたくさん詰まっています。自分らしい暮らしに寄り添ってくれる機能を、ひとつふたつ、選んでみるといいかもしれません。
でも、あれもこれも……と求めすぎてしまうと、選ぶのがむずかしくなることも。
まずは「このデザインが好き」と思えるものを大切に。機能は「あったらうれしいな」くらいの気持ちで選んでみてください。
ここからは、照明にあると便利な機能をいくつかご紹介します。
▼調光・調色機能
ひとつのあかりで、気分に合わせて明るさや色を変えられる調光・調色機能。
朝は白っぽくてシャキッとした光。夜は、やわらかくてぬくもりのある光。そんなふうに、ひとつの照明が、いろんな時間に寄り添ってくれます。
リモコンやスマホで操作できるものなら、ソファに座ったまま、シーンに合わせた空間演出ができます。暮らしに寄り添う、ささやかな快適さです。
▼スピーカー機能
天井から降りてくるのは、あかりだけじゃないかもしれません。音楽も一緒に楽しめる「スピーカー付き」の照明も登場しています。
Bluetoothでつないで、お気に入りの音楽を流せば、お部屋の空気も少しやわらぎます。
音に合わせて光が揺れたり、色が変わったり ⸺ そんな遊び心のある演出も、いつもの時間を少しだけ特別にしてくれます。
▼タイマー機能
時間になったらそっとあかりがついたり消えたり。「点灯・消灯をまかせられる」タイマー機能は、思った以上に便利です。
目覚まし代わりに点灯したり、夜ふかし防止に自動で消灯したり。留守中にあかりをつけて、防犯にもひと役買ってくれます。
光が少しずつ暗くなって、やがてふっと消える ⸺ スリープタイマーがあれば、穏やかな眠りの導入も叶えてくれます。
▼スマートホーム連携機能
「ただいま」と言ったらあかりがついて、「おやすみ」でやさしく消えていく。そんなふうに、声で照明を操作できるスマート照明もあります。
スマホのアプリで遠くから操作したり、家電と連動させて映画モードをつくったり。ちょっと未来の暮らしを、少しずつ取り入れてみるのも楽しいものです。
組み合わせ
ひとつの部屋に、ひとつのあかり。それももちろん悪くはないけれど ── 。もし、照明をもうひとつ足してみたら?いつもの空間が少し変わって見えるかも?
たとえば、天井から部屋全体を照らすあかりと、ソファの横でそっと寄り添うスタンドライト。光の高さや向きが変わることで、空間に表情や奥行が生まれます。
照明は、大きく2つに分けられます。うまく組み合わせて、使ってみてください。
主照明 | 部屋全体を明るくするため天井中央に設置する照明。シーリングライトや一部のペンダントライトなど。アンビエント照明とも言う。 |
---|---|
補助照明 | 手元を照らしたり、インテリアとして光を楽しんだりする目的で使われる。スタンドライトやスポットライトなど。タスク照明・間接照明とも言う。 |
まずは主照明で、部屋の基本の明るさをつくって。そこに、手元やコーナーにあかりをそっと足していく ⸺ 。
そんなふうに組み合わせていくことで、空間がよりやわらかく、心地よく整っていきます。
低い位置にあかりを置くのも、落ち着きを演出するコツ。床に近い場所にスタンドライトを置くだけで、目線が下がり、空間全体に静けさが生まれます。
明るさだけじゃない。照明は、暮らしの空気を整える道具でもあるのです。
電球・蛍光ランプの選び方
照明が決まったら、その中にともる「光」そのものにも、そっと目を向けてみてください。
光の明るさ。やわらかさ。色あい。それらは、暮らしを整えてくれる大切な要素です。
たとえば、白くくっきりとした光は、集中したい時間に。暖かくオレンジがかった光は、ほっとくつろぐ夜に。
器具にあらかじめ電球がついていることも多いけれど、もし選べるなら、自分らしい「光」を探してみるのも素敵です。
電球・蛍光ランプの種類
電球にも、いくつかの種類がありますが、最近の主流はLEDです。でも、器具によっては白熱電球や蛍光ランプも使えます。
それぞれに、違った味わいやぬくもりがあります。お部屋の雰囲気や、過ごし方に合わせて、ぴったりのものを選んでみてくださいね。
ひとつ気をつけたいのは、電球のサイズや形。「E26」や「E17」など、口金の大きさには種類があります。
蛍光ランプも、細長いものや輪のようなものなど多様です。照明器具に合ったものを選ぶことで、あかりを楽しむことができます。
▼LED電球
LED電球は、発光ダイオードを光源とする電球です。
少しだけ明るく。もう少し、やわらかく。調光機能に対応したタイプなら、光の加減も思いのまま。時間帯や気分に合わせて、ちょうどいい明るさをつくることができます。
そして何より、長く使える安心感。ひとつの電球が、何年も変わらずにともってくれる頼もしさ。消費電力も少なく、暮らしにも地球にもやさしいところが、LEDの魅力です。
初めは少し値が張るかもしれません。でも、長い目で見れば、お財布にも環境にもエコです。
もしも電球選びに迷ったら、LEDを選んでみてください。
▼白熱電球
スイッチを入れたら、ふわっとともるやわらかな光。昔から親しまれてきた、白熱電球。
オレンジがかった暖かな光は、なんとも言えない安心感があります。すぐに明るくなって、ぬくもりをそっと部屋に届けてくれます。
ただ、使っていると熱を持ちやすく、少し短命です。ですから、今では主役の座をLEDに譲ることが多くなりました。
それでも、ガラス越しに見えるフィラメントの光に、どこか心惹かれることもあります。
たとえば、レトロなペンダントライトや、小さな読書灯に。カフェのような空間づくりに。
雰囲気を大切にしたいとき、今でも白熱電球が欠かせません。
▼蛍光ランプ
蛍光ランプは、放電による発光を利用したランプです。白熱電球よりもずっと長持ちで、電気代も下がります。
長いあいだ、キッチンや洗面台、デスクの上で活躍してきた蛍光ランプですが、時代とともに、少しずつその役目を終えようとしています。
なぜなら、蛍光ランプには水銀が含まれているから。環境への配慮から、2027年をめどに製造や輸入が禁止される予定です。
すぐに使えなくなるわけではないけれど、これから新しく照明を選ぶなら、LEDがスタンダードになっていきそうです。
参考:環境省「一般照明用の蛍光ランプの製造・輸出入は2027年までに廃止されます」
照度
あかりの明るさって、どれくらいがちょうどいいんだろう ── そんなふうに、迷ったことはありませんか?
昔は、白熱電球の「ワット数」が目安になっていました。けれど今は、LEDが主流になり、「ルーメン (lm)」という単位で明るさをくらべるのが一般的になっています。
最近の照明器具には「◯畳用・○ルーメン」と表示されていることが多いので、まずはお部屋の広さを目安に選んでみてください。
たとえば、LEDのシーリングライトなら、こんな感じです。
- 4.5畳:2,700 lm前後
- 6畳:3,200 lm前後
- 8畳:3,800 lm前後
- 10畳:4,400 lm前後
- 12畳:5,000 lm前後
- 14畳:5,600 lm前後
ペンダントライトは、ほんの少し控えめになります。
- 4.5畳:2,430 lm前後
- 6畳:2,880 lm前後
- 8畳:3,420 lm前後
- 10畳:3,960 lm前後
- 12畳:4,500 lm前後
- 14畳:5,040 lm前後
これは、お部屋の真ん中に照明をひとつだけつけた場合の目安です。
壁や床の色が濃いと、光が吸収されて少し暗く感じることも。また、ご年配の方は明るめの環境のほうが過ごしやすい場合があります。
もし迷ったら、ワンランク上の明るさがおすすめです。または、明るさを調整できる「調光タイプ」の照明を選ぶと安心です。
色温度(光色)
やわらかく、ほっとする光。きりっと澄んだ、青みがかった光。同じ照明でも、色が違うと、まったく別の表情に。
照明の色あいには、いくつかの種類があります。どんなふうに過ごしたいかによって、選び方が少し変わってきます。
この「色の違い」は、色温度という数字で表されます。
数字が小さいほど、朝日や夕焼けのような暖かいオレンジ色の光に。大きくなるにつれて、晴れた日の真昼のような、青白く澄んだ光になります。
たとえば ──
電球色 | 2600~3250Kの暖かみのあるオレンジがかった光色。リビングや寝室などのリラックスしたい空間や、廊下や階段などのあまり明るさを必要としない空間に使われる。 |
---|---|
温白色 | 3250~3800Kの落ち着いた雰囲気の光色。明るさと雰囲気のバランスが取れた光で、リビングやダイニングなどの落ち着きが欲しい空間や、電球色より明るさが欲しい空間に適している。 |
白色 | 3800~4500Kの、少し黄みがかったホワイトの光色。作業や活動をするのに向いている光で、リビングやワークスペース、和室、洗面室、トイレなどさまざまな空間に使える。 |
昼白色 | 4600~5500Kの、純白に近いホワイトの光色。書斎・仕事部屋・リビング・クローゼットなど、明るくしたい空間や物や色をはっきり見たい空間に向いている。 |
昼光色 | 5700~7100Kの、少し青みがかったホワイトの光色。晴れた日の正午の太陽光に近い色。勉強部屋や仕事部屋などの、明るくしたい空間や集中したい空間に向いている。 |
くつろぎたいときは、やわらかなあかり。集中したいときは、きりっと明るい光。そんなふうにあかりの色を選んでみると、心地よい毎日が送れるかもしれません。
最近は、ボタンひとつで光の色を変えられる「調色機能」がついた照明もあります。リビングのように、昼と夜とで使い方が変わる場所にぴったりです。
まとめ:選び方を覚えてお部屋にぴったりの照明を選ぼう
照明ひとつで、お部屋の空気がふわりと変わる ⸺ それはきっと、あかりの持つ力。
どんな形にしようか?どんな色にしようか?と悩む時間もまた、暮らしをつくるひとコマです。
デザインや機能、光の色や明るさなど、今回ご紹介した「あかり選びのヒント」をあなたの視点に加えて選んでみてください。
「今日のあかりが、明日のわたしを照らしてくれる」そんなふうに思えるような、とっておきの一灯に出会えますように。