ダイニングチェアの選び方 – 4つのポイントと注意点を解説

2025.01.24

ダイニングチェアを選ぶ際、「こんなに選ぶのが難しいものだった?」と悩む方が少なくありません。デザインや価格だけでなく、サイズや座り心地など、考慮すべきポイントが多岐にわたります。

「肘かけは、あったほうがいい?」「長く使いたいけど、メンテナンスが大変だったらどうしよう?」など、不安がつきませんよね。毎日使う家具だけに、しっかり吟味して選びたいものです。

本稿では、ダイニングチェアの選び方や、選ぶ際の注意点をご紹介します。本校の情報をイス選びのチェックポイントとしてご活用いただくと、きっと長く愛用できる一脚が見つかりますよ。

ダイニングチェアの選び方のポイント

ダイニングチェアは、ダイニングテーブルで食事や作業をするあいだ、体を預ける大切な家具です。その品質は、食事や作業の快適性だけでなく、リラックスできるかどうかにも大きく影響します。

そんな大切なダイニングチェアを選ぶ際、どこに注意すればいいのでしょうか?⸺ ダイニングチェア選びでは、以下の4つのポイントに着目していただくとよいでしょう。

  • テーブルとの高さのバランスを確認しよう
  • 座り心地をチェックしよう
  • ニーズに合った種類を選ぼう
  • インテリアに調和する素材やデザインのものを選ぼう

それぞれ、詳しく解説していきます。

テーブルとの高さのバランスを確認しよう

テーブルとの高さのバランスを確認しよう

ダイニングチェアを選ぶ際、まず気を付けたいのがテーブルとの高さのバランスです。これが合っていないと、座ったときに不快だったり疲れやすくなったりします。

では、どうやってバランスを確認するのでしょうか?

確実なのは、お店で実際にイスとテーブルをセットで試してみる方法です。座ったときに自然に足が床に着くか、そして腕をラクに置けるか、確認するとよいでしょう。

一方「ネットショップで買いたいので、店頭で確認できない」と言う方は、適切な差尺さじゃくを確保できるか確認してください。

座り心地に影響する「差尺」とは

差尺とは《テーブルの天板の高さとイスの座面の高さの差》のことです。一般的には《27~30cm》くらいだと、座ったときにちょうどバランスがよくなります。

たとえば、天板の高さが70cmなら、座面の高さは40~43cmくらいが理想的です。また、人それぞれ体格が違いますから、身長に合わせて計算することもできます。

身長から快適な「差尺」を求める計算式

差尺は、座高の1/3程度が理想とされています。座高は「身長×0.55」で簡易的に計算できます。ですから、たとえば身長170cmの人の場合、快適な差尺は以下の式で求められます。

  • 座高 ⇒ 170×0.55=93.5cm
  • 差尺 ⇒ 93.5÷3=約31cm

ただし、快適な差尺は個人差があります。また、テーブルの上で作業をする場合の差尺は《座高×1/3-2cm》くらいがよいと言われています。

ですから、できればお店で実際に座ってみて、食事のシーンや作業シーンをシミュレーションしながら、快適かどうか確認するほうが安心です。

なお、ダイニングテーブルの選び方は、以下の記事で詳しく解説しています。テーブルとイスの高さのバランスを取るうえで参考になりますので、ぜひあわせてご覧ください。

ダイニングテーブルの選び方は?家具とインテリアの合わせ方も紹介

座り心地をチェックしよう

座り心地をチェックしよう

座り心地のよいイスは、体への負担や疲労感を軽減してくれます。テーブルとのバランスをチェックできたら、座り心地も確認しておきましょう。

とくに、以下のポイントが座り心地を左右します。

  • 座面の寸法
  • クッション性
  • 肘かけ
  • 背もたれ

それぞれ、チェックポイントをご紹介します。

座面の寸法

座面の寸法は、快適性や長時間の使用における疲労度に大きく影響します。まず、座面の高さが《足の裏が床にきちんと着く高さ》かどうかを確認しましょう。

また、面積も大切です。しっかりと《お尻を支えられる面積》があるでしょうか?幅が狭い、あるいは奥行きが浅いと、安定した姿勢を保ちにくくなります。

なお、イスの中には、座面や背もたれに《体のカーブに合わせた曲線加工》を施したものもあります。そのようなイスはフィット感が高く、体圧分散による疲労感の軽減が期待できます。

クッション性

ダイニングチェアの座面の硬さや形状は、快適性と疲れにくさに影響します。とくに、食事の時間が長いご家庭では、じゅうぶん配慮しておきたいポイントです。

では、堅いほうがいいのでしょうか?それとも、柔らかいほうがいいのでしょうか?

結論を言うと、適度に弾力性があるものが理想的です。座面が硬すぎるとお尻や太ももに負担がかかり、柔らかすぎると体が沈み込んで姿勢が不安定になります。

たとえば、木製の座面のイスはクッション性が低く、長時間の着座にはシートクッションが必須です。

肘かけ

ダイニングチェアには、肘かけ付きのものと肘かけなしのものがあります。どちらがいいかは、使う方のニーズや用途によります。

肘かけ付きのダイニングチェアには、以下のような特徴があります。

  • 腕や肩の負担を軽減できる
  • 体全体をイスに預けて、リラックスできる
  • 立ち座りをサポートしてくれるので、足腰の弱い方に便利

一方、肘かけがあると、いくつか注意点も生まれます。たとえば、イスをテーブルの下に収納しようとしたとき、肘かけがジャマになることがあります。

ですからアームチェアを購入する際は、テーブルの下にすっきりと収納できるか、肘かけのサイズやテーブル下の幕板の高さを確認する必要があります。

また、肘かけがジャマで、横からの離着席がしづらくなることもあります。できれば実際に座り比べてみて、あり・なし、どちらがいいか選んでいただくと間違いがありません。

背もたれ

背もたれがしっかり体を支えてくれるかどうかで、長時間座ったときの疲れ方が変わります。食事の時間が長いご家庭は、イス選びの際、背もたれにも着目しましょう。

なお、背もたれの低いイスは「ローバックチェア」、高いイスは「ハイバックチェア」と呼ばれます。ローバックチェアには、以下の特徴があります。

  • 圧迫感が少なく、部屋を広く見せる効果があり
  • 配膳などもしやすい
  • 背中を預けてくつろぎたい場合には不向き

一方、ハイバックチェアには以下のような特徴があります。

  • フォーマルな印象を与える
  • 背中全体を支え、ゆったりとくつろげる
  • 圧迫感が出やすい

また、背もたれの形状や角度によっても座り心地が変わります。使う方の体格も、影響するでしょう。

ですから、やはり可能であれば実際に座ってみて、座り心地を確認していただくと安心です。

ニーズに合った種類を選ぼう

ニーズに合った種類を選ぼう

ダイニングチェアには、おもに1人がけタイプとベンチタイプがあります。カウンターで食事をされる場合は、カウンターチェアも選択に入ってくるでしょう。

それぞれの特徴をご紹介します。ニーズに合ったものをお選びください。

1人がけタイプ

ダイニングチェアでもっとも多用されているのは、1人がけタイプです。いわゆる、一般的なイスですね。

1人がけタイプは種類が豊富で、多くの選択肢があります。デザインにこだわって選べるでしょう。家族それぞれが自分の好みに合わせて、異なるデザインのものを選ぶことも可能です。

また、後述するベンチタイプに比べて軽いものが多く、お掃除の際などに移動させやすいでしょう。

ベンチタイプ

ベンチタイプは、複数人で座れる長イスです。たくさんの人数でテーブルを囲んだり、その時々でテーブルを囲む人数が変わったりするご家庭に便利です。

ベンチは、座る以外にも、来客時には荷物置きとしても役立ちます。また、同じ人数分のダイニングチェアを購入するよりも、コストを抑えられる場合が多いでしょう。

カウンターチェアタイプ

カウンターチェアは、高さのあるカウンターに合わせて設計されたイスです。座面が高く、足が床に付かないため、足置きが付いているものもあります。

昇降機能が付いたタイプもあり、座る人の身長に合わせて高さを調整できます。座面が回転するタイプは、立ち座りの際に便利で、狭いスペースでも使いやすいでしょう。

インテリアに調和する素材やデザインのものを選ぼう

インテリアに調和する素材やデザインのものを選ぼう

イスを選ぶ際、なんとなく好みで素材を選んでいるかもしれません。たとえば「温かみのある木製がいいな」とか「かっこいい金属製がいいな」といった感じで選ぶ方は少なくないでしょう。

しかし、さらにインテリアとの調和を考慮できたら、ワンランク上の空間を実現できます。インテリアスタイルに合う素材やデザインの例をご紹介しますので、参考にしてください。

モダンスタイル

モダンスタイルは、洗練されたシンプルさが特徴のスタイルです。直線的なラインで、ムダな装飾のないイスがよく合います。

モダンスタイルのイスには、近代的な素材が多用されています。たとえば、合板や金属、プラスチックなどですね。そのような素材を使った、クールな印象のイスを選ぶとよいでしょう。

色はニュートラルカラーやモノトーンカラーなど、 建築によくなじむ色がおすすめです。金属のシルバーも、このスタイルになじみます。

北欧スタイル、和モダンスタイル

北欧スタイルや和モダンスタイルは、自然との共生を大事にするスタイルです。金属やプラスチックより、触れるとホッとするような天然木やファブリックが好んで活用されます。

両スタイルのイスのデザインは、シンプルかつミニマルです。飾り気のない無二の美しさがあり、とりわけ北欧では、マスターピースと呼ばれるようなイスがたくさん生まれています。

色は、北欧モダンなら、白色や天然木の色。ファブリックの張り地には、グレイッシュな色やフレッシュな色がよく合います。日照時間の短い北欧ならではのカラーパレットですね。

和モダンも、天然木の色が好まれます。ファブリックの張り地には、紺色や栗色、墨色などの伝統色がよくマッチするでしょう。

ミッドセンチュリーモダンスタイル

ミッドセンチュリーモダンスタイルは、戦後のアメリカで生まれたスタイルです。金属やプラスチックの生産・加工技術が、急速に発展した時代ですね。

このスタイルでは、木材・皮革・ウールなどの自然素材だけでなく、スチール・プライウッド・ファイバーグラスといった近代的な素材もよく使われます。

技術の進歩により、三次元曲面や幾何学的なフォルムのイスが増えたのも、ミッドセンチュリーの特徴です。名デザイナーも、数多く輩出されました。

色は、レトロで陽気な色がよく用いられています。レザーの黒やキャメルブラウンも、このスタイルとよく合う色です。

インダストリアルスタイル、ブルックリンスタイル

インダストリアルスタイルの源流は、18~19世紀の産業革命です。この時代に財を成したブルジョワ層が、金属や機械部品のデザインをインテリアに取り込んだのが始まりと言われています。

ですから、インダストリアルスタイルのイスは、工場や倉庫で使われていたようなものが少なくありません。装飾を排し、機能を追求した無骨さが魅力と言えるでしょう。

一方ブルックリンスタイルは、ブルックリンのクリエイティブな若者が、倉庫や工業施設をリノベーションしながら生み出したスタイルです。無骨さが抑えられ、都会的なエレガントさが加わりました。

両スタイルとも、素材が持つ渋い色をそのまま生かして使う傾向があります。また、白や黒などの無彩色やグレイッシュな色、ベージュやアイボリーなどのニュートラルカラーもよく使われます。

ダイニングチェア選びの注意点

ダイニングチェア選びの注意点

最後に、ダイニングチェア選びの注意点を3つご紹介しましょう。

実物に触れ、座り心地を試すほうが安心

イスの座り心地は人それぞれ異なり、体格や好みに合わせて最適なものを選ぶ必要があります。ですから、実物に触れ、座り心地を試してからのほうが安心して購入できるでしょう。

イスを試すときにチェックするポイントは《座り心地の好み、自分の体格とのフィット感、素材の感触、テーブルとのバランス》などです。実際に店舗で、これらの要素を実体験してみましょう。

お掃除やメンテナンスの方法もチェックしよう

ダイニングチェアは毎日使うものですから、お掃除やメンテナンスの方法も確認しておきましょう。選ぶ素材によって、お手入れの方法が変わってきます。

たとえば、本革張りのイスは長持ちで、使い込むほどに風合いがよくなります。しかし、専用クリーム等で定期的なケアをしないと、ひび割れたり劣化を早めたりしてしまいます。

ファブリック張りのイスは温かみがあり、季節を問わず快適な座り心地です。しかし、食べこぼしたり飲みこぼしたりしたものが付着するとシミになりやすいのが難点です。

なるべくメンテナンスを減らしたい場合は、本革張りより合成皮革張りのイスを選ぶとよいでしょう。ファブリック張りのイスは、カバーリングタイプを選べば、カバーだけ外して洗えます。

また、木製や人工樹脂(プラスチック)製のイスであれば、メンテナンスもお掃除も比較的簡単です。

必要に応じて機能性も確認しておこう

ダイニングチェアには便利な機能を持つものがあり、その機能があると毎日の使い勝手がもっとよくなるかもしれません。

たとえば、キャスター付きのイスは移動が簡単で、位置調整や掃除の際などに便利です。(ただし、床を傷つけにくい素材のキャスターを選ぶのがポイントです)

スタッキングできるイスは、使わないときに重ねて収納できます。来客用のイスなど、臨時で増やしたりコンパクトに片づけたりしたいときに便利な機能です。

カウンターチェアは、昇降機能が付いていると便利でしょう。ご家庭のニーズに合わせて、最適な機能を持つイスを選びましょう。

まとめ:選び方をマスターして、最適なダイニングチェアを選ぼう

ダイニングチェア選びでは、テーブルの高さとのバランスや、座り心地の確認が重要です。ニーズに合った種類や、インテリアと調和するデザインのものを選ぶことも大切でしょう。

お掃除方法やメンテナンス方法、そして機能性もチェックしておき、ご自宅にぴったりの一脚を選びたいところです。可能であれば、店頭で実物を確認しておくと、安心して購入できます。

本稿でご紹介したポイントを参考に、ダイニングチェア探しをお楽しみください。ステキなダイニングチェアを見つけて、理想のダイニングをつくり上げましょう。

選び方をマスターして、最適なダイニングチェアを選ぼう

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